#第二章

デビュタント―いや、皇太子の婚約式からひと月。

ミツミネはエルザリーテとの接触に成功している。彼女は、あの翌日任務成功と続行の知らせを寄越した

【親愛なるヴィヴィアン嬢へ

先日お願いされた件ですが、先ずは成功した事をご報告いたさします。】

ミツミネはイグナティア侯爵領の南。トィレンツィア領にある小さな子爵領の娘になりすまし、エルザリーテとの接触を果たした。

余談だが、トィレンツィア領は片田舎であり、トィレンツィア伯爵が納めているのだが、社交の場に伯爵が出てくることはない。噂では吸血鬼だの怪物だの言われているが、その真相はわからないままだ。

よって、子爵家の数も把握している人はいないだろう。

実はトゥレインツィアは王国の影【隠匿の地】である。たった一人で一部隊を壊滅させる能力を培う独自の教育を行う領土。これを知るのは、皇家だけである。

歴代の皇帝の護衛に着く人材を輩出することが多く、また他国との戦事にも秘密裏に参加しているのだという。

ルーレウスの黒焔の剣のメンバーのほとんどはこのトゥレインツィア出身の平民である。

ミツミネはトゥレインツィアから出たいと願う子爵令嬢としてエルザリーテに接触。

バルド領に嫁ぎたい人がおり、バルド領の社交の場に馴染むために指南をして欲しい。

━━━━━という設定だそうだ。

そして、この後エルザリーテ伯爵夫人を陥落した後、ヴィヴィアンをひょんなことから文通をはじめた唯一の友人として伯爵夫人に紹介する。という流れらい。

伯爵夫人は過去に隣国から来たばかりのリリアン皇女殿下を社交の場で通用するように尽力した実績がある。その為、リリアン皇女殿下との交流も未だ健在だ。

だからこそ、皇家の内情に詳しいはず…そうヴィヴィアンは睨んでいる。

(さすがミツミネね。任せて正解だったわ)

ミツミネの報告書は暖炉に焚べた。

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