かつて、騎士の制度が今ほど厳格でなかった時代、
ある家にて“既に成人し、妻子を持つ男”が騎士に選ばれた。
彼は家の直系にして、優れた戦術眼と地脈適性を持ち、
神子の守り手としては申し分ないと判断されたゆえであった。
家はこう述べた。
――「家族を守る者は、神子もまた守れるであろう」
しかし、これは誤りであった。
神子はまだ幼く、
初めて出会ったその騎士に“父のような安らぎ”を見出したという。
時が経ち、成長するにつれ、
その想いは“家族になりたい”という願いへと変わっていく。
神子は恋をした。
だが、その想いを口にすることなく、
ただそばに在りつづけた。
一方、騎士もまた、
神子と過ごす中で、
心の奥に揺らぎを覚え始めていた。
ある夜、神子が儀式中に倒れ、
命の灯が消えかけたとき、騎士は迷わず命を注ぎ込み、
その身を盾として彼女を守りぬいた。