土蜘蛛の影が薄れし後も、地脈の不安定はなお続き、
神子の負担は増すばかりなり。
特に南の地では、気温や気候の変化が激しく、
地脈と自然の連動が複雑化していた。
朱雀の神子は、その熱き魂をもって地を鎮め、
朱雀の騎士は力で咎人を薙ぎ払う。
だが、幾度となく繰り返される咎人化と異変を前に、
ある世代の神子が叫びを上げた。
――「私たちの想いだけで、世界は救えぬ!」
この一言が、南家の大きな転機となりたり。
以降、南家では「感情」や「奇跡」に頼るのではなく、
地脈の構造・神子の脈動・咎人化の傾向などを数値と記録により把握し、
“知”の力で異常に立ち向かうべきだとの思想が芽生え始める。
神子は、巫女であると同時に、
研究者、観察者、記録者としての訓練を受けるようになり、
朱雀の騎士たちも、実戦の腕に加えて論理的判断力を求められるようになる。
南家の家訓に、この時期より新たな一文が加わったという。
――「熱く在れ、されど冷静にあれ。」
その言葉の裏には、
かつて激情ゆえに咎人化した神子の記録があったともされる。