ある時代、神子制度を支える家のひとつが、
財政難により崩れかけていた。
その家に生まれた神子候補の少女は、
幼くして神託を受け、器としての資質を持っていたが、
家は彼女を正式に“選ばぬ”という判断を下す。
理由はひとつ――
売れるからである。
少女は“器”としての価値を持ったまま、
表向きは“破門”とされ、裏では金銭と引き換えに、
とある遊郭に売られた。
記録では、彼女は特に美しかったとされる。
物腰も静かで、言葉遣いも丁寧。
“最初の夜”の前には、ただひとこと、こう言ったという。
――「私は、清く在るために育てられました。」
それでも時代は彼女を許さず、
神子であることを隠したまま、遊女として日々を送った。
やがて、彼女のもとにひとりの“騎士”が現れる。
詳細な身分は記されていないが、
彼は東家の者であったという記録が一部にある。
彼は、彼女が“神子である”ことに気づいたが、