タイトル【四神繚乱】

プロローグ

――その日、世界はまだ、静かだった。

けれど、確かに歪み始めていた。

かつて神が地に降り、四神となって大地を繋ぎとめたという伝承。

四神をその身に宿す《神子》と、彼女たちを護る《騎士》。

その血脈は今も続き、幾度となく訪れる地脈の乱れと戦いながら、人々の知らぬ場所です、世界を守ってきた。

しかし、その均衡は今、静かに崩れつつある。

政府に潜む影――《土蜘蛛》。

彼らは、神の力すらも己の理想のために利用せんと、暗躍を始めていた。

それを知らぬまま、ふたりは旅立つ。

群青と蒼子――

東の本家、東宮寺の名を持つ騎士と、蒼龍の神子。

「行こう、群青!」

「……ああ」

家の石畳を踏みしめ、手を取り、世界を繋ぐ旅へと走り出すふたり。

それは、ただの使命ではない。

まだ形にならない想いと、幼き約束の延長線――

ふたりが世界の歪みに立ち向かう、その最初の一歩だった。

――その夜。